雑記ブログ。あと自論。名前はまだない。

気がついたら論語を読んだ感想がメインのブログになってしまいました。そのうち何とかします。後、下らない小話的自作小説も書いていますのでお時間があれば是非!

SS小説「スマートウォッチの品格」

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 現在海外で勢いがあり、日本の市場でも期待値も高く、ポストスマホとの呼び声も高い「AIスピーカー」。

 当ブログでも今後注目のAIスピーカーについて記事も書きました。

 

nakatico-ps.hatenablog.com

 

 それに比べて、以前にポストスマホとして盛り上がったスマートウォッチは、最近とんと浮いた話を聞かなくなってしまいましたね。

 最近のスマートウォッチがフィットネス関連の機能を強調しているところをみると、フィットネスの需要は一定量あるようですが、現状ではそれを超えて消費者に広まるということはなさそうです。

 

  そういえば、スマホiPhoneが登場するまでは、

「一定の需要はあるが、それ以上に成長する市場ではない。」

 といわれていました。

 iPod touchの発売当時、「これに電話機能を追加して売れば間違いなく売れる!」と、当時Windows Mobileを使っていた私は思ったものです。

 やっぱり、市場を席巻するにはポップな商品仕様が必要不可欠なんですね。

 現在のスマートウォッチは、いまだ簡単なメッセージ機能とフィットネス機能が中心で、まだまだスマホの補助デバイスの域を脱していません。スマートウォッチは、市場でブレイクスルーを起こすには、スマホの拡張デバイスとしての現在の存在意義を踏襲しながら、UIはスマートウオッチが主役となるだけのインパクトが必要なんじゃないかと思います。

 もしくは、スマホを中心に複数の拡張デバイスを組み合わせることによって、提供されるサービスなんてものが登場することで、スマートウォッチの需要が一気に高まるというということも今後あるかもしれません。

 ということで、スマートウオッチをはじめとするウェアラブル端末がメジャー化すると、どのようなサービスが登場するのか、またどのような恩恵があるのかを想像してひとつ、今回は小説を書いてみたいと思います。


SS小説「スマートウォッチの品格」

「ハアァ~ッ、ようやく帰ってこれたわね。」

 貴音はそう言って、すでに人通りの少ない駅間の広場で大きく背筋を伸ばした。

 一週間の地方出張から、ようやく自分の住むアパートの最寄り駅まで帰って来られたが、さすがに6時間も電車の移動で座りっぱなしだったので、腰から背中にかけての筋肉が強ばってしまっている。

 貴音は、上半身の筋肉と関節の居心地を整えるように何度か体を捻ったり反らせたりしながら、確認のために手首にはめた時計に目をやった。

 時刻は、すでに夜の12時を過ぎている。

 都内といっても住宅街の真ん中にある小さな駅だ。さすがにこの時間になると駅前でも営業している店はコンビニと、数件の居酒屋、後は少し行った先にあるスナック街にある店ぐらいのものである。

 今日の最終バスも、とっくに出発してしまっている。

 仕方がない。と、貴音はバックから無線タイプの骨振動イヤホンを取り出して右の耳にはめ、電源を入れた。

 駅からアパートまでの距離は歩いて20分ほどだが、さすがに今の時間から徒歩で帰るだけの元気はない。

「ガウリール?」

 と、貴音は時計をはめている左腕を、自分の胸元まで持ち上げて言った。

『こんばんは、貴音様。』

 すると、先程左耳にはめたイヤホンから、理知的な若い女性を思わせるかのような合成音声が、貴音の呼びかけに応えて言った。

「家まで車を出して。」

『何名乗車されますか?』

「私一人よ。荷物もキャリーバック一つだから、コンパクトカーで十分だわ。」

『承知いたしました。しばらくお待ちください。』

 彼女の名前は……いや、そう呼ぶのはおそらく正しくはないのだろう。ガウリールとは、ゾリア社の開発した人工知能だ。

 この5年ほどで人工知能音声認識はすっかり定着して、すでに現代の生活には欠かせないものになっている。情報の処理を行うのは相変わらずスマホが中心だが、以前に比べるとスマホを取り出すということも少なくなったように思う。左手首のスマートウォッチに話しかければ、それに対応した適当な答えが、ちょっとした間を置いた後にスマホとペアリングされたスピーカーから返ってくる。

 あらかじめ自分の声を登録しているので、周りの話し声や、テレビやラジオの音声に反応することはまずない。

 ただ、音声認識をONにしたままにしておくと、ちょっとした独り言にも反応してすぐに何だかんだと助言を呈してくる。それが、一々言っていることが至極もっともで、その所為で最近妙に愚痴っぽくなった自分を実感して、さらに嫌な気分になるので、貴音はこうして必要な時だけ使うようにしている。

 音声認識の反応は、使い続けることでユーザーのクセを学習して自動で最適化されるそうだが、それを待っていられるほどの精神的な余裕は、仕事に追われる毎日を送る現在の貴音にはなかった。

 2、3分といったところだろうか。すでに人通りも疎らになった道を、左右のヘッドライトをギラギラと光らせて一台の電気自動車が走って来る。

『お待たせしました。』
 とガウリールが言うと、二人乗りの小さな車は貴音の目の前で静かに止まって、助手席側のドアが独りでに開いた。

 中には誰も乗っていない。敢然自動運転車だ。

「トランクを開けて。」

 貴音の音声に応えて自動で後ろのトランクが開く。便利な時代になったものだ。

 トランクにキャリーバックを置くと、貴音は自分でトランクを閉めて、自分も車に乗り込んだ。車にはハンドルもなければ、アクセルもブレーキもない。もう人間が運転出来るようには設計されていない車だ。

『シートベルトを閉めてください。』

 貴音がガウリールに促されるままにシートベルトを閉めると、車は静かに走り出す。

『音楽をおかけしましょうか?』

 ガウリールの声が車のスピーカーから響く。貴音はいつも車に乗るとヒーリングミュージックをかけるので、ガウリールは気を利かせているみたいだ。

「いえ、今日は良いわ。」

 アパートまでは5分ほど。眠気も少しある。少し目も耳も休めたい気分だった。

 自動運転車が普及したことで、都会を中心に日常的に車を使用しない世帯ではカーシェアリングを利用するのが一般的になっていた。何処からでも呼べば近くのステー

ションから走ってきて、降りた後も自動でまたステーションに帰っていく。利用料金だってそんなに高くない。全く、便利な世の中になったものだ。

 ただ、自動運転によるカーシェアリングが普及したことによって、タクシー業界はすっかり廃れてしまった。バスやトラックも今では自動運転が当たり前だ。

 このまま人工知能の高性能化し続ければ、人間社会の産業の在り方自体が変わってしまって、人間のできる仕事なんてものはすっかりなくなってしまうかもしれない。でも、それでも現代を生きるため人工知能によって提供されるサービスを利用しないわけにはいかない。そしてそうであることによってまた人工知能はさらに進化していくわけだ。全く、人間社会というのはつくづく因果なものだと思う。

『到着しました。』

 ガウリールの声に貴音はハッと目を覚ます。どうやら眠ってしまっていたみたいだ。

 貴音は下りて荷物を下ろすと、「行って良いわ。」とガウリールに指示を出す。

『承知いたしました。発車します。』

 とガウリールが言うと、車は誰も乗っていないまま独りでにどこかへと走り去っていく。

 さて、明日も早い。今日はもうお風呂に入ってさっさと寝よう。

 そんなことを考えながら、貴音は右耳のイヤホンに手を伸ばす。

『貴音様』

 と、イヤホンを取る前にガウリールが貴音に話しかけてきた。

『今日もお疲れ様でした。おやすみなさい。』

「ええ、お休みなさい、ガウリール。」

 こういう微笑ましい所もあるのかと、貴音はクスリと笑いながらイヤホンを外した。

 ーおわりー

 

 ということで、私は音声認識の普及と一般化が進むことで、スマートウォッチの音声入力デバイスとしての需要が高まるんじゃないかという内容でした。

 他にも、医療関係で例えば独居老人の健康状態に異変があった時に家族や、医療機関に連絡できる機能を持ったウェアラブル端末が普及するなんてこともあるかもしれませんね。

 これから、UIはタッチ操作から音声認識に変遷していくと思います。その時、新しいUIの形態と市場が模索していく中で、スマートウォッチが注目されるかもしれません。もちろん、また別のウェアラブル端末が台頭する可能性もありますけどね。

 ウェアラブル端末は、まだまだこれからの市場なので、これからどんな商品が登場して世界に影響を与えていくか楽しみです。

 

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